鶴田 芳郎(つるた よしろう)
昭和42年2月24日 生まれ (長崎市)
一級建築士。
㈱ユニオン設計事務所(東京)、イケガワ建築設計事務所(長崎)を経て平成17年に独立。
個人住宅をはじめ、ビルやマンション、公共処理場、商業施設などを手掛ける。
プライベートでは3女に恵まれ、妻と実母の6人家族で暮らす。趣味はたまの海釣りとゴルフ。AB型。
私の仕事について。
家を建てようというとき、多かれ少なかれ、誰しもが必ず何らかのイメージをもっています。
「任せるよ」、といっていただくときには、気を引き締めてお客様のイメージを一つひとつ検証して表現していく必要があります。
これが、私の仕事のすべてといえるかもしれません。
住まい手のイメージの欠片は、好みや趣味や生活経験、思い出などから派生しているかもしれないし、メディアや家族、友人から起こって来る情報の集積によるものかもしれません。
それらのイメージを、これこれと明確に、かつ具体的に説明できる人は建築家よりも建築家に向いている人かもしれませんが、それらを材料にモノとしての家を表現する作業を地道に行えることが、本来の建築家の役割だと信じています。
ですから、住まい手の方とはいつも本気でお付き合いしなければなりません。住まい手のことを知ることでしか、要求の真実は得られません。新しい方との出会いは私にとって人生の宝物であるし、作業の積み重ねはいつも楽しいものです。
そして、住まいは出来上がってからその役目を果たしていきます。
そこから始まる時間の経過と共に変化する生活の姿に対応してゆくことが理想です。
そうなると、住まい手にとって100%完璧な住まいを創ることは未来を予言するのと同じで不可能であり、またそのようなものを手探りで求める必要はないともいえます。
それならば人生に何度とないこの機会、いっそ好きなだけ沢山のイメージをぶつけていただいて、あなただけの住まいを楽しく計画していただきたいと願ってしまうのです。
もちろん私は、かの偉人たちが記した「機能はデザインに一致する」、「形態は機能に従う」、といった言葉の意味を大切にしています。
人が生活する空間というのは、イメージだけのつなぎあわせでは成立しません。
建築史から得た真理も、生活形態のトレンドも、そして数々の経験も、すべては次にお会いする住まい手の方のためにいつも用意しています。
そうして一緒に創り上げるあなたの住まいはきっと、愛着のある素晴らしいものになっているに違いありません。
かつてガウディが言ったように、建築家という仕事は生涯苦しい忍耐と研究を繰り返していく仕事だと思っています。通常なされていることを観察して、それをより良くしようと努力を重ねたあとにだけ、独創の本質があるということです。
時が経って、自分の設計した家やマンションの前を通る機会があって、そこに生活の匂いというか、各々の住まい手から漂う空気を感じるときに初めて、自らの仕事に対する少しの満足感を得るような気がします。
一級建築士 鶴田芳郎